日本では、家族の世界共通ルールになった共同親権という制度をしることができないまま、単独親権制度がつくりあげた貧困の鉄格子から自力で飛び出すことができなくなっていく



私が共同親権について勉強して興味深いと感じたのは、日本社会のなかの男女間のさまざまな格差の原因のひとつが、単独親権制度にある、という指摘でした。2020年の夏に、信州で開催された共同親権について勉強会で知りました。

単独親権制度に従って、裁判所は女性を子どもの親権者に指定する。女性はDV等を理由に、元夫とのコミュニケーションを絶つことが多い。子どもを元夫(婚姻中の夫でも)会わせない。
日本の企業社会では、シングルマザーを雇用する企業はすくない。受け入れ体制をもっている会社は少ない。
貧困支援のNPO法人などの組織に頼る。それも不足して困窮したら生活保護になる。
養育費の一部は、元夫からの養育費を徴収する弁護士がとっていく。養育費の手取りは目減りする。
DVにはモラルハラスメントという、夫婦間のただの言い争いをDVであると指摘することが可能な、解釈の大きな幅がある。
DV支援の専門家のいうことを信じると、妻は夫と会うことはできなくなる。夫はDVモンスターだからだ。
妻の不倫が原因で離婚するときに、子どもを拉致して、実家に逃げ込んだ人も少なくない。その女性たちは、真実を語ることはできない。元夫とその家族からの追及がこわいからだ。メディアも攻撃してくるかもしれない。
こうしてその女性は、単独親権制度の被害者になっていく。
日本では、家族の世界共通ルールになった共同親権という制度をしることができないまま、単独親権制度がつくりあげた貧困の鉄格子から自力で飛び出すことができなくなっていく。
単独親権のダークサイドを学ぶほどに、よくできた仕組みだなあ、と思う。
世界は、家族を分断・破壊して、子どもを不幸(貧困)にする仕組みである単独親権制度を乗り越えて、共同親権になっていった。
先進国のなかで日本だけが、単独親権制度を維持して、家族が機能不全をおこし、子どもの貧困がとまらない。
そして、その構造をしっている専門家・知識人が、DV被害者支援の名目で、共同親権につよく反対している。

(共同親権研究会・川崎 石井政之)