2021-1-11に開催した、共同親権研究会・川崎で語られた当事者体験を、このブログで報告します。
40代男性の「実子誘拐(拉致・連れ去り)」の体験
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HSさん。40代 男性。
<IT企業勤務。現在、神奈川県在住。2009年神奈川県に転勤で移住。
2013年に結婚。実子連れ去りの被害者>
妻とは地域のサークル活動で、知り合って結婚。2015年に子どもが産まれました。
結婚前より妻はメンタルのアップダウンが激しい人だったのですが、子どもが産まれてからは、かなり落ち着いてきたので安心していたんです。
子どもが1歳半になった頃、妻が息子の様子が普通と少し違うことに気がついて、専門の病院診てもらうと、中程度の障害があることが分かりました。
2018年頃から子どもの教育について妻との意見の意見の違いがでてきて、家庭内で別居することになりました。
妻は専業主婦だったので、妻が平日の監護、私が土日は子連れで外に遊びに行くという生活を半年くらい続けました。
これではダメだ、と思い、義父にいまの夫婦の状況をし、間を取り持ってもらうようメールを送ったところ、「娘と離婚して欲しい」と手紙がきたんです。
ビックリして、話し合いを求めたのですが、12月には子どもを連れ去られてしまいました。
仕事から帰宅すると、妻と子どもの荷物がなくなっており、後日、義父からは「離婚するまで子どもと会わせない」というメールが届きました。
妻が、弁護士を立てて面会交流調停を申し立てました。
私も途中から弁護士に委任しました。
当初、妻側は年1回1時間の子どもとの面会という条件を出してきましたが、現在は2ヶ月に1回4時間という審判を下されています。
コロナの緊急事態宣言が出た後の2020年5月は、6月に延期して実施できたはずの面会交流の期日を守ってもらえず、裁判所の履行勧告も2回無視したため、損害賠償請求訴訟を申し立てています。
また、2020年2月に妻から離婚調停を申し立てられましたが不成立となり、2021年1月に離婚訴訟を申し立てられ、現在係争中です。
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当事者体験をきいて、まとめメモ
石井政之(共同親権研究会・川崎 代表)
「実子誘拐(拉致・連れ去り)」(以下、実子誘拐)の被害者を招いてはじめての「共同親権研究会・川崎」でした。参加者は、私と、北関東から来た同じく実子誘拐の被害者男性1名と、HSさんの3名。新型コロナの影響で、多くの人を集めるイベントはできないの小規模で開催しました。当事者の話にじっくり耳を傾けることができたと思います。
これまで共同親権国家賠償請求訴訟を傍聴したり、関連する勉強会に参加するたびにHSさんと挨拶をする程度の言葉をかわしてきました。じっくり話を聴くのは初めて。改めて実子誘拐の残酷さの一端を知ることができたと思います
ざっとまとめると、以下の流れで実子誘拐と、子どもと会えない状況になっています。
- 妻の精神状態の異変を感じた。
- その後、子どもの教育をめぐって価値観の違いがわかって家庭内別居。
- 妻は専業主婦で、社会とのかかわりが希薄。
- 実家のサポートで実子連れ去り。
- 「離婚をするまで子どもにあわせない」という交渉メールがくる。
- 双方ともに、弁護士を立てて話し合い
- 信頼関係がなくなってしまい、新たに訴訟を提起。
いまの日本は離婚後単独親権制度なので、片方の親が親権を取ってしまうと、もう片方の親は親権を喪失。肉親であっても法的には他人になってしまう。そのため自分の子どもと会うか会わないかを決めるのは、同居している親次第。
元妻はHSさんを嫌っており、子どもと会わせる意欲が乏しい。
子どもと会える頻度は、家庭裁判所で決めた面会交流の期日である「2ヶ月に1回4時間だけ」だ。
エンジニアであるHSさんの話は理路整然である。ときおり声を震わせて話すので、感情のたかぶりを抑制していることがわかった。子どもの成長にかかわりたい、HSさんの苦悩は深い。
共同親権研究会川崎では、これからも実子誘拐の被害者をゲストにその体験を聴く集まりをつくっていこうと思う。
以上